あなたに会えたとき
2001年6月23日彼から留守電がはいっていた。『10時半ごろの予定』とのこと。昨夜、私とネットであえなかったから、『でられる?』とメールがはいった。『出ます。もうちょっとで会えるね。。』とメールを返した。
白いワンピースにアイロンをかけ、新しいサンダルをおろす。ピンクのリップフィニティ。。。普段つけないマスカラも念入りに。。香りをつけようかどうしようか迷ったが、何もつけないで、雨の中電車に乗った。
途中ずっと、メールのやり取りをしながら。。
今回も中間地点ではないが、名古屋で会う事にしていた。少しでも長くいっしょにいられるようにしたいから。
同じ時間くらいに、名古屋に着いた。ほとんど同時に、『ついた〜』『到着〜〜』とメールを送りあった。線路をはさんで反対側のホームに彼を見つけた。私は、電話をかけ『みーつけた』と、手を振った。同じ場所であえるように階段を降りた。手を伸ばして彼をつかまえた。彼も、私を腕の中に入れてくれた。
いつも会ってる恋人同士のように、歩き始めた。歩きながらときどきキスが降って来る。気持ちも、何もかもきゅっとなる。。私はただの一人の女になっている。
できるだけ長く、少しでも長く、二人きりでいたい。。同じ思いだった。
二人きりになって、私は彼の首に飛びついた、爪先立って。。。彼は黙ってずっと抱きしめてくれる。辛いことも、いやなことも、何もかも忘れていられる瞬間。私が私でいられる瞬間。
会えたのね、一緒にいるのね、何度も確かめる。
いつものようにいっしょに眠る。私は子犬のように、彼の肩や胸に頭を乗せて。。私は、こんな風に誰かとくっついて眠ったことがない。なぜこんなに安心できるんだろう。。なぜこんなに気持ちよく眠れるんだろう。。
目を覚ました彼と、サンドイッチを食べた。彼のTシャツを借りて。。おいしいね、一緒に食べると。私の口にサンドイッチを押し込みながら、彼も楽しそうにしている。
『もしかして私が好きなの?』
『え?分かりました?』
『なんか嬉しそうだし、そうかな〜と思って』
そんな会話も楽しい。
でも、一緒にいると会話が要らない。触れていて、目が合って、。。。それだけでいい。
帰り際に、お茶を飲みながら彼にコンコンと説教された。もう、すぐに別れようとしないこと、同じことで別れるといわないこと。。。もう、新幹線が来るというときまで、、、
彼の乗る新幹線がきた。私は、彼の胸におでこをくっつけて、涙が出そうなのを堪えた。新幹線の中で『またね』『今度横浜で』と、彼の口が動いている。ダメだ、涙がこぼれそう。と思うと、ひょうきんなことを彼がする。へんに泣き笑いの状態。新幹線が動き出すともう、だめだった。右手は振っていたが、まともに新幹線を見ることができなかった。
ああ、帰っちゃった。
私も帰らなくては。。
,p>待合室で、ハンカチで顔を拭き、鏡を見た。彼の乗った新幹線と反対に行く新幹線に乗った。
そこで、はた、、、と気がついた。新幹線の切符を持っていない。待合室で落としてしまったんだろう。膝の上に置いていたし。。もう、そそっかしい。気持ちがここになかったのだ。降りた駅で切符を無くしたことを告げ、無事に出してもらった。
家に戻って、またネットで彼に会った。離れ離れだね。。さっきまで一緒にいたのに。。別々のところに帰っているのに、『おかえり』『ただいま』と言い合う。
ネットでは、実際にあってる間に言い合えなかったことも、話した。彼も、いまだから言える事をたくさん話してくれた。なぜ、私なのか。。。なぜ私でなければいやなのか。。すこし、元から持っていた疑惑というか、不安の素がはれたような気がした。
出会えてよかったね。本当にそう思う。
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